ソフトウェア構成分析 (SCA) とは
ソフトウェア構成分析 (SCA) ツールによって、オープン ソース ソフトウェアのセキュリティ、品質、効率をいかに向上できるかについてご覧ください。
ソフトウェア構成分析 (SCA) の定義
ソフトウェア構成分析 (SCA) とは、ソフトウェア アプリケーション内のオープンソース コンポーネントの特定と管理のためのサイバーセキュリティ プロセスです。SCA ツールは、コード内のプロジェクト依存関係をスキャンすることで、脆弱性、ライセンスコンプライアンスの課題、あるいは古くなったライブラリを検出する効果があります。自動化された SCA ツールの利用により、開発者はリスクを低減すると共に、ソフトウェア開発ライフサイクル全体においてソフトウェア セキュリティと合法性を保証することができます。
ソフトウェア構成分析 (SCA) の重要性
オープンソースは現代のアプリケーション開発の基盤となる要素です。今日のソフトウェア コードの大部分 (最大 94%) は、サードパーティのオープンソース コンポーネントで構成されています。開発チームがオープン ソースを利用してますます複雑でクラウドネイティブなアプリケーションの開発に取り組むなかで、アプリケーション セキュリティ テストは最も優先的に取り組むべき項目となっています。
どのコードベースにも大量のサードパーティ コンポーネントが使用される状況では、ソフトウェア開発を手動で審査しセキュリティを保証することはますます困難になっています。そこで登場するのが SCA です。SCA ソフトウェアは、一連の自動化されたチェックにより、使用するオープンソース コンポーネントのセキュリティリスクやコンプライアンス課題を特定・管理すると同時にその修復を支援します。SCA ソフトウェアは、より安全なソフトウェアをより迅速に開発することを目指すすべての開発者にとって、なくてはならないツールとなっています。
SCA の機能の仕組み
ソフトウェア構成分析 (SCA) ツールは、依存関係を特定し管理するプロセスを自動化および合理化すると同時に全般的効率を向上させることを目的として設計されています。以下に、ソフトウェア構成分析 (SCA) が機能する仕組みのおおよその概要を示します。
開発者は、コード スキャン ツールを使用して開発したアプリケーションをテストします。
SCA スキャン ツールは、コードベース内をスキャンしてオープンソース コンポーネントがないか探します。
静的 SCA (別名マニフェスト スキャン) は、ビルド マニフェスト ファイルを利用してソース コード内のコンポーネントを探します。
動的 SCA (別名バイナリ スキャン) は、バイナリ コードをスキャンすることで、テスト環境もしくは本番環境内でアクセスできるコンポーネントをリアルタイムで探します。
SCA ツールは、ソフトウェア BOM (SBOM)、つまり開発されたアプリケーション内にある依存関係のきめ細かいインベントリを作成します。SBOM には、それぞれのコンポーネントの位置、コンポーネント バージョン、およびライセンス情報が含まれます。
SCA ツールは、SBOM を、セキュリティ脆弱性の公開データベースである「よくある脆弱性およびエクスポージャー」(CVEd )、およびプライベート データべースと比較します。
ツールは脆弱性のリストを作成すると共に、チームのコンプライアンス ポリシーに従って脅威スコアに基づいて優先順位付けを行います。
SCA ツールは、セキュリティ問題の緩和と修復のための次のステップを提供します。
SCA の主な特徴とメリット
ソフトウェア構成分析 (SCA) ツールの利用により、開発者は重要な機能やメリットを得ることができます。
脆弱性の検出 : SCA ソフトウェアは、オープンソース コンポーネント内の、古くなった、あるいは既知の脆弱性を含む依存関係を見つけます。これは、スキャン結果を公開データベースあるいはプライベート データベースと比較することで達成されます。これにより開発者は、発生する可能性のある潜在的リスクをより明確に可視化することができます。
古くなったコンポーネントの特定: サードパーティ コンポーネントは定期的に更新する必要があり、更新を怠たるとセキュリティ リスクの発生要因となります。SCA ツールは、コード内のこのように古くなったコンポーネントを発見して修復を支援します。
コンプライアンスの検証: コンポーネント内の脆弱性の特定に加えて、多くの組織は SCA ツールをライセンス情報の追跡とコンプライアンス要件の検証に利用しています。
自動化: SCA ツールは自動化されたプロセスを多用することでテストプロセス全体の合理化に貢献しています。これにより、より迅速かつ安全な開発が可能になると同時に、開発者にとっての満足度が向上します。
ソフトウェア品質の向上: SCA ツールは、コードべース内の依存関係が適切に管理されているかのどうかの判断を支援するとともに、ソフトウエア サプライ チェーンについての開発者の理解を向上させる効果があり、ソフトウェアの品質とパフォーマンスの向上に貢献します。
DevSecOps および CI/CD パイプラインへの SCA の組み込み
現代の DevOps 環境もしくは DevSecOps 環境においては、ソフトウェア構成分析 (SCA) ツールは CI/CD パイプラインと同時併行して動作し、早い段階でのセキュリティ脆弱性の特定と評価に貢献します。これらのツールを組み合わせることで、品質保証およびパフォーマンス テストをソフトウェア開発ライフサイクルの起点から終点にわたるまで全体に組み込んだシフト レフト アプローチが完成します。
SCA ツールをパイプライン全体に統合することで、開発者はコード セキュリティ ツールを予めワークフローに組み込む文化を育むことができます。SCA ツールを用いて開発プロセスの最初からチェックを実行することで、開発者は脆弱性を効果的に管理して優先順位付けし、ライセンス コンプライアンスを維持し、品質に妥協することなくより安全なアプリケーションを構築することができます。
ソフトウェア構成分析 (SCA) に関する課題
あらゆる開発ツールと同様に、ソフトウェア構成分析 (SCA) にも一定の課題が存在します。
推移的な依存関係の可視化ができない: SCA ツールは依存関係の特定に役立ちますが、コード レイヤーのさらに奥深くにそれぞれ独自の依存関係が隠れていることも多く、こうした依存関係すべてを特定しセキュリティを保証するのは難しい場合があります。
依存関係を把握する能力: 依存関係を司るロジックを理解するには、SCA ツールはエコシステム全体をカバーする必要があります。例えば package resolution などの要素は、脆弱性をどのように特定して対処できるかに影響します。
脆弱性の管理: 時に SCA ツールにより大量の脆弱性が発見されることがあり、数千件もの課題が滞積してバックログが生じることがあります。このような状況では修復タスクの優先順位付けが困難になり、オーバーロード状態が発生します。
プロセスやリソースの欠如: 人員、リソース、セキュリティ知識の欠如などにより、開発チームが SCA プロセスをタイミングよく効果的にワークフローに統合できない場合があります。
ソフトウェア開発における SCA の実装
現代の開発環境では、ソフトウェア構成分析 (SCA) はアプリケーション セキュリティy (AppSec) 戦略の効果的な運用に欠かせない要素となっています。そのため、ワークフローにスムーズに実装できるソリューションを選択することが重要になります。
以下に、ソフトウェア構成分析に関して考慮すべきベスト プラクティスをいくつか紹介します。
開発者にとって使いやすいツールを見つける: チームの既存の開発ワークフローとシームレスに連動する SCA ソリューションを選択することが重要です。既存の CI/CD パイプラインに SCA を組み込むことで、開発者はアプリケーション セキュリティの優先順位付けを行うことができます。
自動化されたスキャンを設定する: 自動化されたスキャンにより、コードを能動的にテスト・監視してエラーがないかチェックすることができます。ソフトウエア開発ライフサイクル全体でこうしたスキャンを定期的に実行する機能を備えた SCA ソリューションを選択すること。
ロバストなレポート機能を備えているか確認する: セキュリティ プラクティスについての正確なレポートを提供する機能を備えた SCA ソリューションであるかどうかを確認すること。これには、コンポーネント構成の詳細なサマリーを提示して依存関係についての充実したインサイトを提供する SBoM 機能も含まれます。
セキュリティ ポリシーおよびコンプライアンス ポリシーの強化: セキュリティ態勢の可視化を達成できたら、次はソフトウェアの保護を維持するためのガイドラインを設定する必要があります。例えば SCA ツールは脆弱性レベルをグループ化したり、あるいは複数のタイプのライセンスをコンプライアンス レベルに応じてグループ分けする機能を備えています。あるいは、グループ化した特定のコンポーネント群全体を、デプロイできないようブロックすることもできます。
ソフトウェア構成分析 (SCA) の今後に向けたトレンド
従来、開発者は複数のオープンソースおよび商用 SCA ツールに依存して、コードのスキャンやセキュリティ レベルの向上に取り組んでいました。しかしこれは生産性フローからの逸脱を意味します。
今日、例えば GitHub と GitHub Advanced Security のような最も魅力のあるソフトウェア構成分析 (SCA) ツールは、ワークフローに直接埋め込まれています。GitHub は、このように組み込まれたソリューションの提供を通じて開発者がそれぞれ好みのワークフローで多様なユースケースに対処することを可能にし、その結果、ベスト オブ ブリードなサードパーティ ツールを組み合わせて使用する必要性が減ります。これにより得られるソリューションは、競合他社のツールを利用した場合に比べて 7 倍も高い修復スピードを発揮します。
オープンソースのソフトウエアやテクノロジーの利用が拡大するにつれ、世間の注目を集める重大なセキュリティ侵害事例も増加しています。幸い、SCA ツールもこの課題に対応すべく進化し続けています。
SCA ツールおよびソリューション
大量のサードパーティ コンポーネントがアプリケーション開発に使用されている現状において、ソフトウェア開発者らはいま、自動化された SCA ツール (及びコード スキャン ツール全般) を、ソフトウェア開発ライフサイクル全般におけるコードベースの十分な可視化に欠かせない存在と考えています。
開発プロセスの合理化と、コンプライアンスの維持、そして全般的なソフトウェア セキュリティ態勢の強化を目指す組織にとって、SCA はなくてはならないツールとなっています。
FAQ
SAST と SCA の違いは何ですか?
静的アプリケーション セキュリティ テスト (SAST) は、独自のソース コードを分析してセキュリティの脆弱性を発見するツールです。ソフトウェア構成分析 (SCA) は、アプリケーション内のオープン ソース コンポーネントの特定と管理に焦点を当てています。どちらも、アプリケーション全体での強固なセキュリティ態勢を維持するために必要です。
ソフトウェア構成分析 (SCA) は静的分析ですか、動的分析ですか?
SCA ソリューションは、静的分析と動的分析の両方を実行できます。
SCA はオープン ソース パッケージをどのように識別しますか?
ソフトウェア構成分析 (SCA) ツールは、コードベース内のオープン ソース コンポーネントをスキャンし、依存関係の一覧を作成し、その一覧をパブリック データベースおよびプライベート データベースと照合します。そして、組織のガバナンス ポリシーに基づいて脅威スコアで優先順位付けされた違反の一覧を作成します。
SCA と SBOM の違いは何ですか?
SCA はアプリケーション内のオープン ソース コンポーネントを特定し、チームがセキュリティ リスクとコンプライアンスの問題を管理するのを支援します。ソフトウェア部品表 (SBOM) は、アプリケーションの既知の依存関係を一覧化したもので、SCA ツールはこの表とパブリック データベースおよびプライベート データベースを相互参照します。
SCA はどのような種類のコンポーネントを分析しますか?
SCA ツールは、サードパーティのオープン ソース コンポーネントを分析します。
ソフトウェア構成分析 (SCA) を利用するべき人は誰ですか?
クラウドネイティブ アプリケーションを開発する組織やオープン ソースを活用する組織は、SCA を利用するべきです。
SCA ツールにはどのような種類がありますか?
静的 SCA (マニフェスト スキャン) は、ビルド フェーズ中にビルド マニフェスト ファイルを使用してソース コード内の脆弱性を検索します。動的 SCA (バイナリ スキャン) は、バイナリ コードのフィンガープリントを使用して、リアルタイムで脆弱性を検索します。
適切な SCA ツールを選ぶにはどうすればいいですか?
適切な SCA ツールを選ぶ際には、CI/CD パイプラインと連携して動作し、スキャンの自動化、依存関係の理解、問題の修復に役立つ開発者向けのソリューションを見つける必要があります。たとえば、GitHub Advanced Security には、開発ワークフローに組み込まれた AI が支援するアプリケーション セキュリティ テスト ツールが搭載されています。